いつからあるのか。誰の豪邸なのか。
様々な噂が囁かれる中、
ただ変わらずそこにあり続ける土岐の舘。
そんな土岐の舘がホテルとしてオープンするという話を聞きつけ、
同窓会を企画する小学校の関係者達が集まった。
モニターになれば料金はいらないと言われ喜ぶ一同に、ホテルの経営会社は淡々と告げる。
「土岐の舘がおもてなしするのは、バーチャルリアリティーの世界。元になるのは誰かの思い出。その時のその世界の住人になって頂きます」
目を開けると私はそこにいた。
昭和32年。
身体を売る仕事・特殊飲食店が
政府に公認されていた時代。
赤線地帯の特殊飲食店【土岐屋】
誰かに助けてほしかった。
−悩みや迷いがないわけじゃないけど−
けれどみんながいてくれた。
−特に不満があるわけでもない−
守れなかったものがあった。
−大人になったら、もう少しマシになってるかと思ってたけど−
守りたいものがあった。
−現実はこんなもんかって感じ−
私は私の記憶を無くしたまま、
なんの疑問も抱かずに、
変わっていく時代の中を 、
誰かの記憶の中を、
私じゃない誰かを、必死に生きた。
必死に生きて、笑っていた。
ハグハグ共和国が送る
見るたび感じる度に美味しい。
時代を越えた大人ファンタジー。
−ウシロノ ショウメン ダアレ?−
※この作品は赤線地帯で働く人々が登場しますが、性描写を描く演出は一切ございません。